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RADIREC概要

RADIRECは、医療現場で用いられる放射線の被曝量を管理するための方法の一つです。

現在、医療現場では患者にあてる放射線量について厳しい管理が求められています。一般にはDRL(Diagnostic Reference Level)と呼ばれる、一年間の累積照射量を規制する考え方が主流です。

したがってより高い治療効果を得るためには、DRLの範囲内で効果的な治療計画を立てる必要があります。

効果的な治療を実現するためには以下のような管理が求められます。

  • 照射する場所をこまかく分けて管理すること
  • 照射するタイミングを時系列で管理すること
  • 複数の施設にまたがって治療する場合に正確な治療履歴を共有できること

一般的な被曝管理方法

患者/術者の実ひばく量の管理方法はいくつか提案されていますが、多くは放射線の発生装置側のデータに基づいて、統計的な推定を行う方法がとられます。

たとえば、CT(Computed Tomography)での被曝量の管理方法では本体標準機能として大半の機種が持っている、Dose Reportを採用することが通例ですが、これは発生装置側の出力した放射線量をレポートしているに過ぎません。(CTでは面積線量計を患者の傍に置くと、金属部品が放射線を跳ね返してアーチファクトというノイズを発生してしまい、本来の検査が成立しない)

加えて、リニアックやCアームなどのモダリティの場合、被曝領域が局部的であり、特にリニアックなどでは狭い領域に強い放射線を照射しています。

この場合、問題になるのは

  • 放射線治療装置の運用プロトコルの標準化が原因で、何度も同じ場所に局部的な照射を行ってしまうリスクがある点
  • 推定値は安全をみて大きめにとられているため、本来のDRLよりも大幅に低い照射量にとどまり、有効な治療計画が立てられない点
  • 照射領域がきちんと管理されていないために治療のために有効な計画が立てられない点。例えば頭部への被曝量と腹部への被曝量を合算してしまう、など。

RADIRECの特徴

RADIRECは、上記の問題に対処する評価・計測方法として提案されたものです。

特徴は

  • 部位ごとに精度の高い被曝量を測定すること
  • アーチファクトが発生しない/しにくい方法を採る
  • 推定値ではなく、実被曝量を計測する

具体的にはガラス線量計を患者/術者の所定の位置に配置し、読み取り装置にかけてデータを収集します。

半面、

  • 患者/術者にガラス線量計を配置する手間がある
  • 治療の終了からデータの収集まで時間差がある
  • 専用の計測装置が必要である

などの課題もあります。

一般的なDose測定RADIREC
測定範囲全体的局所的
測定しているもの発生装置の出力実際の被曝量
データ収集のタイミング即時治療後、測定装置にかける時間はかかる
データの形式1〜数個の数値O(1)〜O(2)の数値データ(*1)
一般的なデータ形式DICOM画像数値データ

*1 O(n) とはオーダーnと読み、データ量を端的に示す表記。O(n)=10^n個のデータ量を表す。例えばO(3)と記した場合、データの個数が1000〜9000個程度の規模になる、ということ。

RADIREC WS概要

RADIREC Web Serviceは、RADIRECの運用にあたり障壁となりうる、線量計の設備投資問題と病院間の情報共有などの問題を解決するためのシステムです。

  • 病院間をまたいで治療を行う場合でも特定の正常部位へのオーバードーズがないようにするためにセラピーの履歴を共有できる
  • 依頼検査というプロシージャを合理的なに進めるために

依頼検査のシステム運用事例との比較

依頼検査の場合、現在ではさまざまなインターネット上での共有システムが国内で運用されている。

VetConnectモノリス・・・微研
運用企業IDEXX(USA)富士フィルムモノリス
検査内容血液/尿/病理血液
対象同社の院内検査機器と依頼検査依頼検査のみ依頼検査のみ
検体の往来郵送/宅配/巡回郵送/宅配/巡回
報告PDF。院内のみXML可メール専用Webサイト
専用Webサイトありあり
API非公開あり(契約)

API

今日、データの管理システムは医療系だけでも多岐に渡り、くわえて事務系、画像系、設備管理系などのシステムも考慮するとそのままでは効率的な治療、経営が難しくなってきています。

2000年代の初期にインターネットによるWebサービスが普及しはじめたころは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダーと呼ぶ)が乱立し、まさにこのような状況が発生しましたが、のちにGoogle社をはじめとするITベンチャー企業で知られるWeb2.0(一般にクラウドと呼ぶ)という方法で解決され、彼らの飛躍的な成長の原動力となっています。

*ただし、日本国内ではクラウドと称していても実は内容がASPと変わらないものが多数存在しているので注意が必要。

ASP以前ASP(Web1.0)Web2.0
ソフトのインストール必要ブラウザのみブラウザのみ
API××
つまり、人とソフトウェアがやりとり人とソフトウェアがやりとり人とPCのみならず、ソフトウェア同士がやりとり

このAPI (Application Programming Interface)とは、ソフトウェア同士のやりとりのために規定される通信ルールをさします。

APIによるメリットは、それぞれの現場でこれまで使われてきたシステムに組み込まれていくことを前提にできることです。これにより、現場スタッフの再教育や反発のリスクを回避することができます。

半面、投資家や経営者からすれば目で見てもわかりにくいアウトプットへの投資になってしまうため、システムの費用対効果についての疑念を抱かれることも少なくない点には注意が必要です。

RADIREC WS (2023)の特徴

上記のような背景からRADIREC WSは近年のWeb2.0のやり方に対応できるように再設計されています。

  • 基本はWebサービスとして設計する
  • オンラインでのレポート作成を中心とした効果測定のしやすい出力設計
  • ソフトウェア同士の通信に対応し、APIから設計

データの管理フローには医療業界ですでに普及しているDICOMセントラル方式を採用します。 ワークフロー の制御には検査番号のラベルを発行します。

用意するもの

ガラス線量計

ガラス線量計fgd1000-imgshot.png(株)千代田テクノルのDoseACEについては、同製品が出力する計測データを直接取り込むことができます。<br>それ以外の線量計を使用する場合でもデータをCSVあるいはXLSフォーマットで投入することができます。
ラベルプリンター安価なラベルプリンターとして普及しているブラザー社製QL-700/800/810を基準に設計しています。検体ラベルの画像を出力できますので、それ以外のプリンターでも印刷することは可能です。
バーコードリーダー安価な市販品で対応可能です。JAN/EAN/UPC,Code128,医療/物流GS1に対応しているモデルであれば使用できます
Web閲覧可能なPC基準(リファレンス)はmacOS 13.14 + Google Chromeです。Webの環境は組み合わせが多数ありますので、動作確認が取れた組み合わせを随時掲載する予定です。